■ 熊野の説話 |
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◆ 安珍・清姫の物語 |
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熊野詣にまつわるお話でもっとも有名であろう物語が、安珍・清姫の物語。 今は昔、熊野に参る二人の僧がいた。一人は老人で、もう一人は若い美男子であった。牟婁の郡まで行って、とある人の家に二人とも宿をとった。 僧は驚いて覚める。僧に女は言う。 僧はこれを聞いてたいへん驚き恐れて、 女は恨みに思い、終夜、僧を抱いて乱れ騒ぎ、戯れるも、様々な言葉でなだめすかし、 女は約束の日を心待ちに待っていたが、僧は女を恐れて他の道を通って逃げてしまった。女は僧の来るのを待ちわびて、街道に出て旅人に尋ねていると、熊野から来た僧がいて、その僧に聞いてみると、 人づてに大蛇のことを聞いた二人。さては女主人が悪心を起こして毒蛇となって追ってくるのだろうと走り逃げ、道成寺という寺に逃げ込んだ。 しばらくして大蛇がこの寺にまで追ってきて、閉じた門も難なく越え、なかに入ってきて、鐘楼のまわりを一・二度回り、入り口の戸のもとに行って、尾で扉を叩くこと百度ばかり。とうとう扉を叩き破って、中に入った。鐘を巻いて尾で竜頭(りゅうず。鐘のつりて)を叩くこと二時三時ばかり。 道成寺の僧たちは恐れながらも、中でどうなっているのか怪んで、鐘楼の四面の開いて、中を見てみると、毒蛇は両の目から血の涙を流して、頚を持ち上げ、舌舐めずりをして、もと来た方に走り去っていった。 その後、道成寺の上席の老僧の夢に、前の蛇よりも大きな大蛇が現れ、 老僧は蛇の言う通り、法華経の如来寿量品を書写して供養した。その後、老僧の夢に一人の僧と一人の女が現われ、二人とも笑みを含んだ喜ばし気な顔つきで道成寺に来て老僧を礼拝して言った。 このように、安珍・清姫の物語は、もともとは法華経の力を喧伝するためのお話だったのです。それが、のちのち悲恋物語としての要素が強くなっていき、いま知られているような形になったのでしょう。 ところで、清姫が年若い娘なのと若後家なのとではだいぶ物語の印象が違いますね。 清姫は和歌山県西牟婁郡中辺路(なかへち)町の真砂(まなご)の里の庄司の娘ということで、真砂の里には清姫の墓と伝えられる石塔が残されています。ちなみに安珍は奥州白河の僧ということです。 (てつ) ◆ 参考文献
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