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◆ 真名井社(まないしゃ)  和歌山県田辺市本宮町本宮


真名井社 旧の国道311号線沿いにある真名井社。
 熊野本宮大社の末社で、本宮の神の最初の降臨地とも伝えられます。
 祭神は天村雲命(あめのむらくものみこと)。
 1月7日の本宮大社の八咫烏神事は、新年の初水をここから汲んで執り行われます。

 真名井社は、土地の人には真名井さん呼ばれ、小塩山の下のあるので、小塩井とも言い、また、閼伽井(あかい)さんとも呼ばれます。
 閼伽とはもともとは梵語で水のこと。日本では仏に供える水のことをいいます。
 真名井社のある谷は現在でも「あかいだに」(漢字で書くと、閼伽井谷ではなく赤井谷となっていますが)と呼ばれています。神仏習合の聖地であった熊野らしい地名です。

 『紀伊続風土記』には、

 本宮山御炊の井戸であった。

 とあり、また、

 昔、ここに薬師堂があり、閼伽井薬師が祀られ、本尊の薬師如来像は行基の作で、お堂は田村麿の開基であったのを、その後、頼朝の姑鶴原の禅尼が再興した。

 とありますが、「頼朝の姑鶴原の禅尼」とあるのおそらく「頼朝の叔母鶴田原の禅尼」の間違いだと思われます。

真名井社 真名井社

 真名井社の名は、アマテラスとスサノオが誓約(うけい)をした場所である「天の真名井」に由来するのでしょう。誓約とは、神に誓いをたてて、ある事柄についての吉凶・真偽・成否についての神意をうかがう占いの一種。
占いの一種。アマテラスとスサノオが誓約をするにいたるいきさつをざっと述べると、以下のとおりです。

 火の神カグツチを生み、火傷を負って死んでしまったイザナミ。夫であるイザナギはイザナミを追って黄泉の国にまで行くも、イザナギの死体となって腐っていく姿を見て、ショックを受け、逃げ帰る。
 黄泉の国の汚れを洗い流すため、イザナギは筑紫の海で禊はらいを行う。その折にたくさんの神が生まれるが、最後に左の目を洗うとアマテラスが、右の目を洗うとツクヨミが、そして鼻を洗うとスサノオが生まれた。
 イザナギは、アマテラスには天上(高天原)を、ツクヨミには海原(『古事記』では夜の世界)を、スサノオには地上(『古事記』では海原)を治めるように命じた。
 しかし、スサノオは命じられた国を治める役割を果たさず、ただ泣くばかり。母(イザナミのこと)のいる根の国に行きたがる。
 イザナギは怒り、「望み通りにしろ」とスサノオを追放する。
 そこで、スサノオは、根の国に行く前に、姉のアマテラスに別れの挨拶をしようと天上に昇る。
 スサノオが天に昇るとき、海は轟きわたり、山も鳴りひびいた。このあまりの猛々しい登場ぶりに、アマテラスは、スサノオが国を奪いに来たのかと男の姿で武装してのぞむ。

 そこでスサノオは自分に悪意が無いことを証明するため、誓約をして子を生むことで占い、潔白を証明しようとします。この誓約をして子を生む場所が「天の真名井」でした。

 そこでアマテラスはスサノオの剣を借りて三つに折って、天の真名井で振りすすいで、よく噛んで霧を吹き出した。その霧から3柱の女神が生まれた。
 スサノオはアマテラスが身に付けていた玉を貰い受けて、天の真名井で振りすすいで、よく噛んで霧を吹き出した。その霧から5柱の男神が生まれた。
 5柱の男神を生んだスサノオは自らの潔白を証明した
(『古事記』ではスサノオの持ち物から女神が生まれたことで、自らの潔白を主張した)

 「真名井」とは神聖な水の井戸のこと。「真名井」の聖なる水がこの誓約に必要だったのでしょう。

(てつ)

2003.2.28 UP

 ◆ 参考文献

くまの文庫2『熊野中辺路 伝説(上)』熊野中辺路刊行会
『紀伊續風土記(三)』歴史図書社

アクセス:JR新宮駅から熊野交通バスなどで1時間20分、熊野本宮駅下車、徒歩1分
本宮町観光協会 Tel:0735-42-0735
駐車場スペースあり
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