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神倉神社例大祭 お燈祭り(おとうまつり)

和歌山県新宮市神倉1-13-8  神倉社:紀伊続風土記(現代語訳)

人類の火の獲得を思い起こさせるかのような火の祭り

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 毎年2月6日夜に行われる神倉神社の例祭「お燈まつり(おとうまつり)」は、勇壮な火祭として知られます。
 約2000人の「上り子(あがりこ)」と呼ばれる白装束の男たちがあの急勾配の石段を火のついた松明を持って駈け降ります。その様は地元の歌「新宮節」に「お燈まつりは男のまつり 山は火の滝 下り竜」と歌われます。 

 山上で火をおこしてタイマツにともして下界に帰ってくるという、とてもシンプルな火祭りです。そのシンプルさは人類の祖先の火の獲得・火の発明を思わせます。

 歴史的なことはわかりませんが、形態的にはお灯祭りは日本の火祭りの原点であると言えるような気がします。遥か昔の人類が火を獲得したときのことを記憶し、今に伝えているかのような火の祭りです。

 この日だけは神倉山は女人禁制になり、女たちは太鼓橋の手前で男たちが降りてくるのを待ち受けます。男たちが駆け降りてくるのは午後8:00ころ。

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もともとは新年に新たな火を迎える正月の祭り

 太陽暦に変わってから2月6日に行われるようになりましたが、それ以前はお燈まつりは正月6日に行われていました。紀州藩が作らせた紀伊国の地誌『紀伊続風土記』には以下のように記されています(私による現代語訳)。

正月6日
同日酉刻に祈願の者が近郷より数百人群参する。みな白装束を着て各々焼松を1束ずつ携え、石段を走り登って本堂に籠る(すなわち拝殿である)。この日、神倉聖が斧鉞を執り、参籠する者に異例があればこれを制する。参詣の者が焼松を持ちながら残らず堂内に入ると、神倉聖は堂の戸を閉じて誦経をなす。その間数千の焼松で堂内を焦がすが如く参詣の者は火煙の中に群れて祈願をなす。誦経が終わって戸を開けると、みな競って下る。悪穢に触れた者がもし過ってこの日に参詣すると必ず凶事があるという。

神倉社:紀伊続風土記(現代語訳)

 お燈まつりはもともとは新年に新たな火を迎え入れる正月のお祭りだったのです。

 平成28年(2016年)3月にお燈まつりは熊野速玉祭(くまのはやたままつり)と合わせて国の重要無形民俗文化財に指定されました。

もうひとつの人類の火を獲得を思い起こさせるお祭り

 熊野にはこの他にもうひとつ人類の祖先が最初に火を獲得したときのことを思い起こさせるお祭りがあります。花窟神社御綱掛け神事がそれです。火の神を産んで亡くなったイザナミの魂を慰めるお祭りです。

 熊野には2つの原初的な火の祭りがあるのです。

神倉神社お燈祭り2002200320042005その12005その22007

お燈祭りをたどる旅

(てつ)

2007.2.9 UP
2014.2.6 更新
2020.2.5 更新

参考文献

神倉神社へ

アクセス:JR新宮駅から徒歩15分
駐車場:出雲大社新宮教会横に神倉神社観光客用駐車場あり(利用時間 7:00~19:00、駐車可能台数 6台)

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