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熊野古道「大門坂」(くまのこどう だいもんざか)

和歌山県東牟婁郡那智勝浦町 那智山:紀伊続風土記(現代語訳)

熊野那智大社への石段、大門坂

 熊野那智大社・那智山青岸渡寺までは車やバスを利用される方も多いと思いますが、せっかく那智まで行くのですから、「大門坂」だけでも熊野古道を歩いていただきたいものです。ありがたみが全然違うと思います。

 大門坂入口から那智の滝までは約1km。歩きで30分ほどの距離です。
 バスを利用の方は大門坂バス停下車、車でお越しの方は大門坂駐車場に駐車して、大門坂入口へ。

大門坂入口

 狭い舗装された道路を登っていきます。少しの間、民家があります。

南方熊楠が滞在した大坂屋旅館跡

 大門坂入口から5分ほどの所に、南方熊楠が3年近く(明治35年1月12日~明治37年9月30日)滞在した大坂屋旅館跡があります。南方熊楠はここの離れを常宿として那智山中の植物調査を行いました。この調査時期に南方熊楠は那智原生林の伐採計画を耳にし、那智原生林の保護に力を尽くしました。

南方熊楠が滞在した大坂屋旅館跡

 大坂屋旅館は大正15年に廃業。熊楠が滞在した離れは昭和8年10月4日に焼失してしまいました。

関所の遺構

 この大坂屋旅館跡の辺りにかつて関所がありました。上の写真は関所の遺構(石造の流し台と石造の石船)。

 鳥居をくぐり、振ヶ瀬橋という小さな橋を渡ります。

振ヶ瀬橋

 この橋が俗界と聖域とを振り分ける境の橋でした。那智参詣曼荼羅にもこの橋は描かれています。

鏡石

 鏡石なる祈り石。

夫婦杉

 夫婦杉が見えます。樹齢800年と推定される杉の巨木が2本。下の写真、人が小さく写っていますが、小人みたいに見えます。石畳の石段も素晴らしいです。

大門坂茶屋

 夫婦杉の手前に大門坂茶屋があり、平安衣装の貸し出し(有料)を行っています。ここから先は大門坂が終わるまで民家はありません。

多富気王子

 多富気王子(たふけおうじ)。中辺路最後の王子社。ただしこの王子の名は中世の記録にはなく、江戸時代の地誌類に登場します。「たふけ」は手向けの意味らしいです。傍らに(写真右下)庚申が祀られています。

大門坂

 石段の両サイドは1本通り、樹齢500年以上の大きな木が並びます。ときおり楠も混じりますが、ほとんどが杉。見事な杉並木です。

大門坂

 途中、熊野古道バス停近くを通りますので、時間のない方はそこからスタートしてもよいでしょう。熊野古道バス停からですと、大門坂の石段を登るのは5分ほどです。

唐斗石

 唐斗石なる祈り石。

那智の滝

 十一文関跡。昔、ここで通行料を取りました。十一文関というからには通行料は十一文だったのでしょう。
 ここから束の間、那智の滝が見えます。大門坂を歩いて初めて見る那智の滝。

大門坂

 267段、約600mの石段がもうすぐ終わります。

 石段を上りきると、開けた場所に出ます。ここにかつては仁王像が立つ大門があって、大門坂と名付けられたのはこのためだといわれます。

 ここから左右どちらに行ってもよいのですが、左に行くと神社お寺前駐車場で、右に行くと、土産物の背後を回ることになりますが、安倍晴明にちなむ史跡「晴明橋の石材」があります。

晴明橋の石材

 花山法皇が那智山に3年籠った際に、お供した安倍晴明がこの付近に庵を結び、庵を晴明庵、庵近くの橋を晴明橋と呼んだと伝えられます。その晴明橋の石材を、駐車場をつくるためにこの場所を移しました。

 晴明橋の石材から、那智大滝までは10分ほど。熊野那智大社・那智山青岸渡寺までも10分ほどです。

 熊野古道歩き「大門坂~那智大社」レポート

 お時間のある方は、那智駅から歩くこともできます。熊野古道歩き「那智駅~那智大社」をご参考に。

 那智の滝関連の熊野の説話

 熊野那智関連の熊野の説話

 古典に見る熊野那智参拝の模様

(てつ)

2005.10.31 UP
2019.11.15 更新

参考文献

大門坂へ

アクセス
・JR紀伊勝浦駅からバスで約20分、大門坂バス停下車

駐車場:無料駐車場あり

熊野古道レポート
那智勝浦町の観光スポット