■ 熊野の説話

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◆ 一本ダタラ


 一本ダタラ(いっぽんだたら)は、熊野の山中に棲む妖怪。

 一つ目で一本足の姿をしていて、一本足で飛ぶように走る。
 叫ぶとその声で木の葉がばたばたと落ちる。
 果ての二十日(はてのはつか。12月20日)は山に行ってはいけない。行くと一本ダタラに会う。会うと病気になる。
 和歌山と奈良県の境の「果無山脈」の地名の由来は、「果ての二十日」に人通りが無くなるからとの説がある。

 道を歩いていると狼が裾を加えて引っ張って岩陰まで連れていく。すると、そこへ一本ダタラが「人臭い、人臭い」と言って通り過ぎていった。狼のお陰で助かったその人はお礼に「俺が死んだら体をやる」と約束した。それで、狼は代々、その家の墓に死体を取りに来るようになった。

 一本ダタラを鉄砲で撃った人は頭がおかしくなってしまったという。

 一本ダタラという名前や一つ目で一本足という特徴から、タタラ師(鍛冶師)に関係があるようです。

 以下、南方熊楠の『十二支考 』「鶏に関する伝説」より。

 熊野地方の伝説に、那智の妖怪一ツタタラ(※一本ダタラ※)いつも寺僧を取り食う。刑部左衛門これを討つ時、この怪鐘を頭に冒り戦う故矢あたらず、わずかに一筋を余す。刑部左衛門最早矢尽きたりというて弓を抛り出すと、鐘を脱ぎ捨て飛び懸るを残る一筋で射殪いたおした。この妖怪いつ山茶つばきの木製の槌と、三足の鶏を使うたと。

 南方熊楠の一本ダタラについての文章はこちら

熊野の妖怪:熊野の説話

(てつ)

2009.4.30 UP
2009.5.29 更新
2009.8.16 更新

 ◆ 参考文献

近畿民俗学会『熊野の民俗 - 和歌山県本宮町 - 』初芝文庫
南方熊楠『十二支考〈下〉』 所岩波文庫

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