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熊野本宮大社例大祭・本宮祭で歌われる歌

本宮祭で歌われる歌

 熊野本宮大社例大祭・本宮祭で歌われる歌をご紹介します。氏子総代である私にも意味がわからない歌もあり、意味のわかる歌もあります。

神歌

宮渡神事
4月13日の宮渡神事

 行列が歩みを進める際に氏子総代が歌う歌。4月13日の「湯登神事」「宮渡神事」、4月15日の「渡御祭」「還御祭」で歌われます。

歌 ならのはおととこがねのすずこそならしみかぐら やよありやそうやそ ありやそうやそう

囃 しらまゆみしらまゆみ やがていのりのかどをこそ

 『紀伊続風土記』には以下のように記されています(以下はてつによる現代語訳)。

この神事に神歌というのがある。

 しらまゆみしらまゆみやかていのりの門をこそふならし御かくら
 ならのはおとこかねの鈴こそそうやそありやそうやそ

この歌を始終宮中から真名井社まで往来とも社家社役人がこれをうたって太鼓をうち行列する。

本宮 年中行事『紀伊続風土記』現代語訳

 少し違いがありますが、誤記でしょうか。それとも現行のほうが誤って伝えられたものなのでしょうか。たぶん誤記だと思いますが。

有馬の窟の歌

 4月15日の御田祭(おんださい)でその中心的祭儀である御田植神事が行われる前に地元の少年少女が舞を奉納します。
 先に少年4人による大和舞が演じられます。この舞を舞うときに氏子総代が歌う歌が「有馬の窟(いわや)の歌」と「花の窟の歌」。

ありまや まつりは はなの はたたて ふえに つづみに うたひまひ うたひまひ

(有馬や 祭は 花の幟立て 笛に 鼓に 歌い舞い 歌い舞い)

 この歌は『日本書紀』にある以下の記述に基づくようです(以下はてつによる現代語訳)。

イザナミノミコトは、火の神を生むときに、陰部に大火傷を負って死んでしまう。その遺体は紀伊国の熊野の有馬村に葬られる。村人は、この神の魂を祭るのに、花のときは花をもって祭り、鼓・笛・幡旗をもって歌ったり舞ったりして祭る。

 主祭神・家津御子大神(スサノオノミコト)が鎮座されたとき、「我を祀るには母神(イザナミノミコト)も祀れ」とおっしゃられたことから有馬村(現・三重県熊野市有馬町)の花の窟から母神をお迎えして、「花のときは花をもって祭り、鼓・笛・幡旗をもって歌ったり舞ったりして祭る」ようになったといわれます。

挑花

 本宮祭では挑花(ちょうばな)と呼ばれる菊の造花を母神に捧げます。挑の字には「掲げる」「担ぐ」などの意味があり、15日の渡御祭では挑花を台に飾りつけ掲げて渡御します。この花を授かれば、1年災難なく過ごせ豊作であると伝えられます。

挑花

挑花

花の窟の歌

 同じく大和舞のときに氏子総代が歌う歌。

はなの いはやは かみの いはやぞ いはへや こども いはへこら いはへこら

(花のや 岩屋は 神の 岩屋ぞ 祝えや 子供 祝え子等 祝え子等)

 「祝えや 子供 祝え子等 祝え子等」の歌の通り、本宮祭の神事の多くで子どもが主役となります。

大直日の歌

 大和舞のあとには少女4人による巫女舞が奉納されます。このときに氏子総代が歌うのが「大直日(おおなおび)の歌」。

あはれえ あなおもしろ あなたのし あなさやけ おけあしめ おけおお

(あわれ あな面白 あな楽し あなさやけ おけあしめ おけおお)

 この歌は平安時代の神道資料『古語拾遺』にある天の岩戸開きの場面で天照大神が出てきたときに神々が喜んで歌い舞ったときの歌が元のようです。

あはれ あなおもしろ あなたのし あなさやけ おけ

(訳)天が晴れた。ああ光を受けて顔が白い。ああ楽しい。ああ草木も喜んでいる。

 大和舞と巫女舞は熊野那智大社例大祭・扇祭とほぼ同じ形式で行われます。

田歌

 巫女舞のあと小学校低学年の子どもたちにより御田植神事が奉納されます。このときに歌われる、その年の豊作を祈る歌。この歌は伶人が歌います。

あああおい くううもが さしでえたあよ しそうの ほしいかあな やよ ありや そや そやそやよ ありやそおやそお

(青い雲が差し出たよ しそうの星かな やよありや そやそやよ そやよ ありやそやそや

 秋の田を刈りわけゆけば 草葉の露に裾ぬれぬれぬ やよありや そやそやよ そやよ ありやそやそや)

 前節は意味がわかりませんが田植歌のようで、後節は田刈歌になっています。
 「青い雲」は青みがかった雲か、それとも青空のことでしょうか。「しそうの星」は「四三の星」で、北斗七星のことでしょうか。

熊野本宮大社例大祭

※このページに掲載しているお祭りの最中の写真は私が氏子総代に就任する以前に撮影したものです。

(てつ)

2021.4.17 UP
2021.4.18 更新
2021.4.19 更新

参考文献