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荒俣宏『帝都物語異録』原書房

魔人・加藤保憲の誕生の秘密

 「帝都物語」のバックグラウンドが、作者自身と8人の研究者の手により解説されている。「帝都物語」好きにはたまらない1冊。

 そのなかに1編だけ短編小説が収められている。「龍神村木偶茶屋」と題されたその短編は『帝都物語』の前日談であり、魔神・加藤保憲の誕生の秘密が語られている。
 その冒頭、いきなり、熊野灘の七里御浜が登場。熊野国総鎮守大馬神社の阿の狛犬に見立てられる獅子岩の下に主人公の少年が立っている。
 少年は、沖からやってきた鬼に連れられ、熊野古道を歩き、龍神村に向かう。
 鬼の口から式神とは何か、熊野牛玉宝印とは何かが語られる。

 「……熊野は古い。神道も仏教も、赤子にすら見えぬほどに古い。……」
 鬼の言葉。

 龍神村には何が待っているのか。

 龍神村で少年は魔神・加藤保憲になる。

(てつ)

2008.9.27 UP
2020.10.24 更新

荒俣宏さんの監修の伊勢・熊野本