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浮島の森(うきしまのもり or うきじまのもり)

和歌山県新宮市浮島3-38

底なし沼に浮かぶ浮島の森

浮島の森

 新宮市の市街地にある底なし沼に浮かぶ小さな森。
 底なし沼に森が浮かんでいるというのも驚きですが、底なし沼が市街地に残されているということにも驚かされます。
 「新宮藺沢浮島植物群落(しんぐういのさわうきしましょくぶつぐんらく)」として国の天然記念物に指定されています。

浮島の森

 85m×60mのほぼ方形の小島で、総面積はおよそ5000平方メートル。
 植物の遺体が集まってできた小島で、沼の水面の昇降によって島もまた昇降し、また強風にあおられて島が移動することさえあるそうです。
 小さいながらも、およそ130種類の植物が茂り、暖地性の植物と寒地性の植物とが混生する渾沌とした森となっています。

 浮島の森には、「おいの」という美しい娘が大蛇に呑まれて底無しの穴に引き込まれてしまったという伝説があり、「おいの見たけりゃ 藺の沢(いのど)へござれ おいの藺の沢の 蛇(じゃ)のがまへ」という俗謡が伝えられています。
 この俗謡を題材のひとつとして取り入れて、上田秋成(うえだあきなり。1734~1809)は、「蛇性の淫」(『雨月物語』巻之四)という新宮を主な舞台とする妖気ただよう物語を著しています(「蛇性の淫」は、「おいの」の俗謡の他、中国の小説や「道成寺縁起」からも題材を取っています)。

浮島の森

蛇の穴

 「おいの」が大蛇に呑まれて引き込まれた「蛇の穴」。

 島内には木道が敷かれ、森のなかを周遊できるようになっていますので、ぜひどうぞ。

(てつ)

2004.8.4 UP
2020.2.28 更新

参考文献

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新宮市の観光スポット