ナギの幹のなかにもう1本のナギ、平重盛手植えのナギ
長全寺の境内に変わったナギの木が生えているということで、行ってみました。
幹の中心部が空洞となっていて、その中に直径30cm程の幹がもう一本あるといいます。
赤木城跡から数分車を走らせると、集落があり、墓地が見えました。あの辺りが長全寺かと車を登らせていくと、やはりそこに長全寺がありました。
長全寺のナギの木。
樹高15m、胸高周囲3.5m。このナギの木も、熊野速玉大社のナギと同様、平安末期に熊野三山造営奉行を務めた平重盛(清盛の嫡男)の手植えと伝えられています。
ナギは熊野権現の御神木で、その葉は、笠などにかざすことで魔除けとなり、帰りの道中を守護してくれるものと信じられていました。
ナギはマキ科に属する針葉樹でありながら、広葉樹のような幅の広い葉をもつちょっと変わった樹木です。
その葉は、縦に細い平行脈が多数あって、主脈がありません。その一風変わった構造のため、ナギの葉は、横には簡単に裂くことができますが、縦には枯れ葉であってもなかなかちぎることができません。
葉の丈夫さからナギにはコゾウナカセ、チカラシバなどの別名があり、その丈夫さにあやかって男女の縁が切れないようにと女性が葉を鏡の裏に入れる習俗があったそうです。また、「凪(な)ぎ」にかけて海の平穏を祈って植えられることもありました。
ごつい根元には石仏が祀られています。
(てつ)
2006.11.2 UP
2020.8.16 更新
参考文献
- 『みえ東紀州の旅』東紀州地域活性化事業推進協議会
長全寺へ
アクセス:JR熊野市駅から車で40分
駐車場:駐車スペースあり