■ 熊野の歌
◆ 鳥山啓「軍艦」
一般に「軍艦マーチ」「軍艦行進曲」として知られている「行進曲『軍艦』」。
現在でも海上自衛隊の観艦式などで使用されている曲で、ドイツの「旧友」、アメリカの「星条旗よ永遠なれ」とともに世界三大行進曲のひとつとして知られています。
この行進曲の作曲者は、旧日本海軍軍楽隊長だった瀬戸口藤吉（せとぐちとうきち。1868〜1941）。
そして、作詞者は、口熊野、田辺出身の鳥山啓（とりやまひらく。1837〜1914）。
１．守るも攻むるも黒鉄（くろがね）の
浮かべる城ぞ頼みなる
浮かべるその城日の本の
皇国（みくに）の四方（よも）を守るべし
真鉄（まがね）のその艦（ふね）日の本に
仇なす国を攻めよかし２．石炭（いわき）の煙は大洋（わだつみ）の
竜（たつ）かとばかり靡（なび）くなり
弾撃つ響きは雷（いかづち）の
声かとばかりどよむなり
万里の波濤を乗り越えて
皇国の光輝かせ
鳥山啓は、南方熊楠の和歌山中学校（現和歌山県立桐蔭高等学校）時代の恩師であり、中学校では博物学、作文などを教えました。明治20年（1887）、東京華族女学校に理科教授として招かれ、大正３年（1914）、77歳で没しました。著書に『長庚舎（ゆうづつのや）歌文集』（全三巻）、訳書に『窮理問答』『天然地理学』『西洋雑誌』などがあります。
◆ 参考文献・参考サイト
松居竜五・月川和雄・中瀬喜陽・桐本東太＝編『南方熊楠を知る事典』講談社現代新書
2006.3.2 UP
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