■ 熊野の説話 |
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◆ 長円が得た法華経の霊験 |
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「大峰奥駈、順峯」で順峯に関する部分のみを紹介した比叡山の僧、長円(ちょうえん。伝未詳)の説話(『大日本国法華経験記』下 第九十二、『今昔物語集』巻第十三、第二十一)。
今となっては昔のことだが、比叡山に長円という僧がいた。もと筑紫の人である。幼くして本の国を出て、比叡山に登って出家して、法華経を受け習って、日夜、読誦する。また、不動尊に仕えて苦行を修める。 葛城の峰に入って、食を断って二十七日間、法華経を誦する。夢に「八人の童子がいた。三鈷杵(さんこしょ)・五鈷杵(ごこしょ)・鈴杵(れいしょ)などを身に付け、各々掌を合わせて長円を讃えて言った。『奉仕修行者 猶如薄伽録 得上三摩地 与諸菩薩倶』(出典未詳。薄伽録をどう取るかによって意味は二つに分かれる。1.修行者に奉仕する者は、薄伽録のように、たとえ身分が卑しくとも、無上の禅定を得ることは、諸々の菩薩と同等であろう。2.奉仕する修行者は、あたかも仏と同じであって、無上の禅定を得ることは、諸々の菩薩と同等であろう。)と誦して、法華経を誦するのを聞く」と見て、夢から覚めた。であるので、限りなく貴んだ。 三鈷杵・五鈷杵・鈴杵は密教の法具。おおよそ次のような種類があります(Store-mixへのリンク)。 金剛杵(こんごうしょ)と総称されるこれらの密教法具は、密教の修行者にとって己れの思想の全体と強固な意思を象徴する大切な修行の道具で、これはもともとインドの神インドラの武器である雷撃ヴァジュラをかたどったものです。 金剛杵は精神の武器です。密教の修行者は金剛杵を身につけることにより、自分が何を行おうとしているのか、何を目指しているのかを、 はっきりと意識します。 話は戻って、 また河の水が凍り塞がって、深い所も浅い所もわからないので渡ることはできなかった。であるので、嘆いて一人岸の上に座っていたところ、突然、大きな牛が深い山の奥から出てきて、この河を幾度も渡った。このように渡り帰るうちに、氷が破れて開いた。その後、牛はかき消すように失せた。そうして長円は河を渡った。「これは護法が牛と化してお示しになったのだ」と知った。 また、熊野から大峰に入って金峰山に出ようとして、深い山に迷い、前後もわからなくなった。けれども、心を尽くして法華経を読誦して、このことを起請すると、「一人の童子が来て『天諸童子 以為給仕』と告げて、道を教えてくれる」という夢を見て覚めた。そのため道がわかって金峰山に出た。 また、蔵王の宝前で終夜、法華経を誦すると、暁になって、長円は夢に、 また、清水寺に参って、終日法華経を誦すると、夢に、 このような不思議なしるしは多いけれども、いちいち記すことは難しい。まことに法華の力、不動明王の霊験はあらたかである。 熊野(および大峰)は、上皇による熊野御幸が行われる以前は、各地からの修行者たちが集まる山林修行の地として知られていました。熊野・大峰で霊験を感得した修行者の話は数多く残されています。 (てつ) 2005.7.31 UP ◆ 参考文献
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