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◆ 星野之宣『宗像教授伝奇考』第3集(文庫)潮出版社


レビュアー:とある神主さん(2006.8.3 UP)

『宗像教授伝奇考』は民俗学教授宗像先生が記紀神話や日本各地の伝承等の真相を探求するオハナシです。
先生の大胆な仮説、飛躍した推理と小泉純一郎氏ばりの力強い断言に余人は口を挟むことが出来ません。余談ですがこの作品には諸星大二郎氏の『妖怪ハンター』へのオマージュかパクリが多岐にわたって見受けられます。

熊野が登場するのは、
File.14『彗星王・羅喉編』と、File.15『彗星王・計都編』。

先に内訳話をしますと、

紀元前三世紀、自称彗星王・秦の始皇帝の命令で不死の霊薬を求め蓬莱山・熊野に渡った方士徐福は紀の国秦一族の始祖であった。
かつて日本は、邪馬台国を鬼道によって支配していた女王卑弥呼(=アマテラス)に象徴されるように巫女から巫女へ受け継ぐ母系王権であった。しかし夜空に彗星(=スサノヲ)駆けるのをみた秦一族が革命をおこし男系王権へと転換した。つまり天皇制の起源は秦の始皇帝に求められる。
大和朝廷が成立し日本神話が編纂された際、この事件は神話化(スサノヲのアマテラス殺し)された。また、彗星を発見するたびに革命をされては朝廷もたまらんので、危険なスサノヲを無力化するために出雲へ封じこめた。これが高天原系神話と出雲系のそれとで全く異なる性質でスサノヲが描かれることとなった所以。
不可解な点は先生にお尋ね下さい。

さて今回の主人公は学生秦武史君です。先生と行方不明のお父さんを探すうちに権力欲の亡者である御実家の秦一族に追われてしまいます。いろいろあって辿り着いた先が熊野本宮大社旧社地大斎原。ここの古井戸の中で京都太秦蚕の社ライクな三本鳥居を発見します。これこそが御先祖徐福様がみつけた不老不死への入り口である熊神籬。三つの門はそれぞれ死・不死・黄泉へと通じています。先生とタケシ少年は唐突に発生した濁流にのみ込まれ、鳥居を潜ります。すると出雲・須佐神社あたりにでちゃった。嗚呼ここが黄泉の国だったのね。

まぁ先生の説はオハナシとしてもそれなりに示唆を受ける点が多々あります。

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星野之宣さんの著作

宗像教授伝奇考 (第1集)
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宗像教授異考録 1
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宗像教授伝奇考の続編

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妖女伝説 (1)
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2001夜物語 (Vol.1)
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