■ おさんぽフォトアルバム


いさいだいなりじんじゃ おたうえしんじ
伊作田稲荷神社・御田植神事


平成25年5月5日、和歌山県田辺市稲成町。伊作田(いさいだ)稲荷神社の「御田植神事」(田辺市指定民俗文化財)を拝見しました。午後1時からの神事より1時間ほど前に到着すると神社前はとても静かで、南方熊楠が採集によく出掛けたという緑豊かな社叢(市指定天然記念物・稲荷神社の森)が参道脇に広がっていました。

本殿前に到着すると、準備中の氏子総代の方々と祭を観にいらした方々がぽつぽつと見えます。 写真を撮らせてくださいね、と挨拶すると、どうぞどうぞ、と笑顔で言っていただけました。ありがとうございます。

お話しながら氏子さんに見せていただいた「広前の儀式次第」によると、式次第は以下の通りです。



・神楽奉納(巫子)
・畦刈
・畦はつり
・畦塗
・田鋤(牛前、牛後、鼻取、鋤)
・代掻
・田植綱
 苗配
・田植(役員夫人 早乙女)
・刈取 一同
・餅まき

「畦」の読みが「あで」なのが、とても熊野らしいと思いました(熊野の発音では、ざ行がだ行になります)。

はじめにお祓いや祝詞奏上・献饌等の神事が本殿で厳粛に執り行われ、その後にベテラン巫子さんの浦安の舞が厳かに奉納され、やがて締縄が張られた結界の中が田んぼに見たてられ、三宝に乗せられた藁束を稲に見立てて畦作り・田植から田刈までの所作が氏子さん達によってユーモラスに演じられます。
アナウンスが畦刈の所作をする氏子さんに冗談を交えつつ「役者やの〜」「ぼちぼちやってくださいよ〜」「まあ一杯」と、お酒をすすめたり、とてもなごやな進行です。解説と氏子さん達のユーモアたっぷりの所作に、観衆からは笑いが度々起こりました。


田鋤・代掻(しろかき)では氏子さん2人が牛の頭のついた胴幕に入り(この牛の頭がとてもよく出来ていて、目も動きます)牛の格好をし、鼻取役の氏子さんに引かれて田を鋤いて回る所作をします(途中、鋤をかい鍬に取りかえるので牛は2回田を回ります)。この時後ろ足(牛後)の役をするのは新人さん、そして経験年数が増えてゆくにつれ前足(牛前)→牛の後方の人(鋤)→牛を前で引く人(鼻取)、と、役割が変わるようです。

その後、笠を被った赤い襷掛の早乙女さん達により田植の所作が演じられ、早乙女姿の女性達が並んでいると不思議と足元に水田が広がっているような感覚になりました。苗に見立てられた藁が刈り取られ三宝に乗せられ、神事は終了します。
この藁は氏子さんが持ち帰り水口に立て、豊作を願うのだそうです。
午後3時頃にお祭は終了、最後は餅まきでしめくくられました。


御田植神事が始まると、それまで何もなかった結界の中に畦刈や代掻や田植がはじまり、稲刈りが行われ、境内に豊作予祝の空間がみるみる立ち現われてゆく様子は何とも面白いものでした。

進行のアナウンスが楽しくわかりやすく、あたたかみのある、とても和やかなお祭りを拝見出来ました。今年も豊作でありますように。

お話をきかせてくださった皆様、有難うございました。

参考文献:田辺市教育委員会発行「田辺市の指定文化財」


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2013.5.8

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