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◆ 矢野熊の矢倉神社(やのくまのやぐらじんじゃ)  和歌山県東牟婁郡串本町串本矢野熊区  串本浦:紀伊続風土記(現代語訳)


線路脇にある社殿のない神社

矢野熊の矢倉神社

 JR串本駅から大阪方面におよそ300mくらいでしょうか、紀勢本線の線路沿いに、この矢倉神社があります。

矢野熊の矢倉神社

 楠やタブなどが茂る小さな森の前に石造りの鳥居があります。

矢野熊の矢倉神社

 社殿のない神社です。森の中は白い浜石が敷き詰められ、奥の方に井戸のような石組みがあります。

矢野熊の矢倉神社

 背後には線路を隔てて山が迫り、かつては背後の山を含めての神社であったのだと思われます。

矢野熊の矢倉神社

 串本町役場にほど近いこのような場所に、このような古式のあり方を伝える神社が残されているのか、と感動しました。 境内にはオオタニワタリが生育。

 

 以下、民俗学者の野本寛一氏の著書『生態と民俗 人と動植物の相渉譜 (講談社学術文庫) 』から引用。

 ——昔、神様が1本の矢となって天から下られた。矢の落ちた所が井戸となってそこから清らかな水が湧き出した。人びとは、この井戸を御神体としてこの森を矢倉様と呼ぶようになった。(中略)戦前までは、森の入口にある三段の石段の手前で履物を脱ぎ、素足で参入する習慣が守られていたという。

 もう1冊、野本寛一氏の著書『熊野山海民俗考』から引用。

かつては漁師の家の老婆達が毎朝、桶に潮水を汲んできてその潮水を拝所に注ぎ、豊漁と船の安全を祈って、帰りに井戸の水をいただいて帰ったものだという。毎年旧暦の六月一日が祭りで、その日には井戸がえをするのがならわしであった。

 私が井戸のような石組みだと思ったものは、やはり本当に井戸だったのですね。

 ◆ 参考文献・参考サイト

植島啓司『世界遺産神々の眠る「熊野」を歩く 』集英社新書ビジュアル版
野本寛一『生態と民俗 人と動植物の相渉譜 』講談社学術文庫 引用箇所は75〜76頁
野本寛一『熊野山海民俗考』人文書院 引用箇所は252頁

矢野熊の矢倉神社 - きのくに風景讃歌

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2012.8.5 UP
2012.8.12 更新
2014.12.15 更新

 

 


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