■ 創作童話

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★ 我が輩は鵯(ヒヨドリ)である。(その16)   (正和 作)


 我が輩は鵯である。


我が輩は鵯である。(その16)       (正和)

 

   2001年

我が輩が門松の南天を頂戴していると奥様は元旦早々、本宮にある熊野権現、熊野本宮大社へ参拝に出かけた。御主人様は氏神様にお参りされる様なので、我が輩もピー子さんと一緒に後について鏡山の森に飛んで行って見た。

ぐるっと見回すと我が輩が毎年お世話になっている皆地の里を見渡す事が出来る。上地(カミジ)だけは祭り山まで行かないと見えないが、ここはいつも我が家から眺めているから先刻承知している。平和で静かな山里だ。第一に住んでおられる人間様が、みんな心の優しい方ばかりだ。我が輩を子供の頃からこの里に連れて来てくれた父や母・祖父や祖母に心から「有難う」とお礼を言いたい。ピー子さんもきっと同じ思いだろうと考える。

鶇(ツグミ)君やジョウビタキ君も相変わらず我が輩達と一緒に遊び目白君は今年も鳥籠の中に蜜柑を入れてもらって出たり入ったりしながら啄んでいる。裏では山雀(ヤマガラ)君達が向日葵の種を貰って食べている。烏の勘太郎さんやカン子さんは電信柱の頂上で大きな声で歌っている。

カワラサンダイ(鶺鴒 セキレイ)君やホトケノコイヅチ(黄鶺鴒 キセキレイ)さんも屋根の上でさえずっている。木陰を飛び回りながら綺麗な声で鳴いているチャッチャ(みそさざい)。庭を「カルガモ」の親子の様に仲良く連れ立って歩く小授鶏(コジュケイ)の親子。

ただ、空に輪を描く鳶(トビ)さんや梢でキチキチと甲高い声で鳴いている百舌(モズ)さんは我が輩も一寸苦手だが、平和で楽しい毎日だ。

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 このお話は、私が最近知り合った本宮町に在住の正和さんという方の創作童話です。
 正和さんの許可を得て、こちらに転載させていただくこととなりました。
 今回のお話は、正和さんがお住まいの皆地(みなち)を舞台にした物語です。

 皆地には皆地生き物ふれあいの里があります。
 皆地いきものふれあいの里では、約20ヘクタールの敷地のなかに「ふけ田」と呼ばれる湿田や森林があり、約600種類もの動植物を観察することができるそうです。観察室、標本展示室を備えた「皆地いきものふれあいセンター」も併設。駐車場あり、入場無料。

和歌山県田辺市本宮町皆地の観光名所

(てつ)

2009.7.10 UP

 

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